誰でも悩みごとから解放されたい、と思っています。
悩みがなかったらどんなにいいだろう、と。
しかし、いつまでも悩みはなくなりません。
この本は、日本在住の上座仏教長老のアルボムッレ・スマナサーラさんが書いた本で、
「悩みごとは、すべて執着から生まれる」と、述べています。
悩みの原因『執着』とは、どんなものなのでしょうか。
「悩みをなくすには、どうしたらよいのか」を、
具体的な例をあげて、誰にもわかりやすい言葉で、教えてくれています。
わたしが、この本を読んだのは、5年ほど前で、人間関係の悩みがあって、本屋さんでふっと目に入り、買ってきました。
スマナサーラさんの、ちょっと手厳しいけれど、たしかな仏教の教えが通った、人間関係のアドバイスは、「目からうろこ」でした。
今、読み返しても、自分を見つめる、かつ、人間関係で役立つ内容、がたくさん書かれています。
よい内容なので、少しだけダイジェストでお伝えしたいと思います。
アルボムッレ・スマナサーラ『執着の捨て方』 大和書房
執着の捨て方
捨てることは、明るくて前向きなこと
執着とは、何かが足りていない、満たされていない、と思うことです。
そこから不安、不満といった悪い感情が生まれます。
執着の対象は、仕事、お金、異性、子供、健康、ダイエットなど際限がありません。
スマナサーラさんは、「自分が執着しているものに気づき、理性によって捨てなさい」と言っています。
「こうなったら幸せになる」という執着は、『勘違い』なものなので、幸せから遠のいていき、いつまでたってもみじめな人生になるのだそうです
生きるということは、常に変化しながら、あらゆるものを捨てながら、前に進んでいくこと。
なので、潔く捨てるという訓練が必要だと、スマナサーラさんは言います。
それが明るく前向きに進んでいく人生、につながるそうです。
実践するのは、むずかしそうですね。
でも、スマナサーラさんは、わたし達の日常の生活を例に出して、わかりやすく説明してくれます。
子供への執着の捨て方
子育てはとても大切なことですが、子供の人生を管理できません。
管理できると思っているのは、執着があるから、思い通りに育っていない、という苦しみが生まれるのです。
執着を捨てれば、子供にとって必要不可欠なことは、すべてやってきた、ということが、わかります。
すると、悩み、苦しみが消え、心がとても楽になります。
案外、子供は今のままで、とても幸せに生きていることがわかるでしょう。
人付き合いでの執着の捨て方
子供を介した母親同士のつき合いや、仕事のつき合い、趣味のつき合いは、人生のある期間だけ必要なのものです。
人とのつき合いには、一生使うクリスタルグラスのようなつき合いもあれば、一時的に使う、紙コップのようなつき合いもあります。
一時的なつき合いは、紙コップと割りばし、のようなもので、気持よく使って、後は捨てる、それでいいのです。
トラブルが起こるほど、腹を立てたりするのは、そのつき合いに執着しているからです。
執着しないと心に決めて、必要だと思うぶんだけ、つき合っていけばいいのです。
意見への執着の捨て方
生活をしていれば、さまざまな場面で意見のぶつかり合いが起こります。
誰かから自分の意見を否定されると、自分の意見への執着が起きます。
自分の意見を守ろうと必死になってきます。
意見というのは、日々変わるものなのです。
情報を集めてより正しいと思える意見を見つけたら、入れ替えればよいのです。
自分の意見に執着しないで、日々、正しいと思える意見に更新しましょう。
物に対する執着の捨て方
物、食べ物、服、健康、美しさなど、欲しいと思うものはたくさんあります。
生きていくために必要な欲、と、必要以上に愛着をもつようになる執着は、違います。
執着があると、現状に満足できません。
「もっともっと」という心の動きに束縛され、少しも明るい心に向かうことはないのです。
きっぱり捨ててしまいましょう。
潔く捨てることは、訓練です。
『過去の栄光』に対する執着の捨て方
過去の自分がよかった頃を忘れないで、しがみついて生きている人がいます。
これは、過去の自分に執着しています。
人間は常に変化していく、ということ、を理解していないためで、
現在の状況を受け入れて、執着を捨てた人は、お年寄りになっても幸せな人になれます。
最後に
アルボムッレ・スマナサーラ著
『執着の捨て方』 大和書房
を紹介しました。
ここでお伝えしたのは、ごく一部です。
この本は、
1章 物と心を捨てる
2章 意見を捨てる
3章 儀式を捨てる
4章 我論を捨てる
で構成され、瞑想についても説明されています。
仏教の修行のような内容でありながら、日々の生活に生かせるものが、たくさんあり、悩み、苦しみから解放されるために役立つ本です。
スマナサーラさんは、このほかにも、「怒らないこと」をはじめ、たくさんの本を出されています。
わたしの人間関係の悩みは、仏教関連の本が役に立ちました。
人間の根本原理や真実は、変わらないからでしょう。
2500年前のお釈迦様の教えは、現代でも生き続けています。
この本は、こころが苦しくなった時に読んでください。
得るものがたくさんあるので、おすすめです。
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