
カナカナカナカナ
毎年夏の終わりのころ、このひぐらしの声をきくと、もう夏が終わるんだ、と
ちょっとさびしく、けれど、なつかしさを感じる。
先日、カナカナと聞こえてきたときも、同じ思いを持った。
このひぐらし、オスの体長が28~38mmのセミで、朝夕に独特の鳴き声で鳴く。
俳句では秋の季語であり、夏の終わりに鳴くものだと思っていたら、
6月の中旬から鳴いているそうだ。
日本全域に住んいるのに、高いところにいるのでめったに見ることがない。
そう言われてみると、子供のころ、ひぐらしを捕まえた記憶がない。
カナカナ..という鳴き声は、日本人には、せみのはかなさと重ね合わせて、物悲しくきこえるようだ。
誰から教わったわけではないのに、聞こえてくると哀愁を感じる。

夏の終わり。秋はすぐそこ。
夜。
外では、虫たちが競うように鳴きはじめた。
リーンリーン、コロコロコロ、リーリーリー...
こんな「虫しぐれ」が聞こえてくると、もう夏の終わり。
昼間の暑さを消しさるように、虫たちは、2枚のはねをこすりあわせて、鳴き声を響きわたらせる。
子供時代は、やっていない宿題を、思春期のころは、片想いの好きなひとを思い出した。
今は、何だろう。
夏の終わりと安ど。 鳴き声に癒される。
虫たちの鳴き声も、日本人には風流に聞こえるものだが、
ヨーロッパでは、単に虫の騒音だという。

万葉集には、こおろぎを秋に鳴く虫として、いくつもの歌が詠まれている。
”草深みこほろぎさはに鳴くやどの”
こおろぎがたくさん鳴いている庭を見、あなたはいつおいでになるのでしょうか。
秋の虫は、日本の文化と切っては切れない関係。
だからこそ、虫の鳴き声に聞き入る。
日が暮れるのが早くなった。
夏がなごり惜しくもあり、感傷的にもなる。
虫たちが作ってくれる音のアンサンブル。
今年はどんな思いを持つのだろう。
毎年変わらない、この時期がなんとなく、好きだ。
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